2011年健康通信 NO.10’(平成23年12月12日)

投稿日:2011年12月12日|カテゴリ:健康通信

今年のインフルエンザは、どうなのでしょうか?思い返せば、2009年5月には豚由来の新型インフルエンザが大流行して、厚生労働省もあわてて日本中でワクチン接種がはじまりました。蔓延と同時に休日急患診療所が連日満員となり、22時に来た最後の患者さんが診療所を出たのが1時を回っていたともありました。この時のインフルエンザウイルスはA型のH1N12009です。今年の流行は、その名残でA型のH1N12009、A型のH3N2(香港型)と、B型のシーズンの混合感染と言われています。幸い現在使用しているワクチンはこの3つのウイルスに対応しておりますので、まずは安心してください。
インフルエンザは風邪なのかと聞かれますが、確かに風邪症候群の1つでありますが、罹患すると速やかに高熱と全身症状(倦怠感、筋肉痛)があらわれ、合併症もみられることがあり、風邪症候群の一つとはとても言いきれない重症の感染症でもあります。
インフルエンザの確定診断は、一般の診療では簡単に行えるものでなく、定点の医療機関にて、サンプルを核酸検出法などの検査で判断していきます。しかし、流行が始まれば何型インフルエンザという報告がくるので、一般の診療では迅速診断キットで十分です。ただ、感度の問題があり鼻汁にウイルスが出てくるのに発熱時から、12時間から24時間を要することがあり、この時点では陰性となるので、診断は医者の臨床経験がものをいうこともあります。

現在、浦和ではマイコプラズマ感染症(肺炎)が流行っています。当院では、マイコプラズマは9月頃からみられましたが、実は全国的な現象のようです。このところ、寒さが増していますので、感染症は姿を変え、マイコプラズマ感染症も一時姿を消していくことでしょう。
このマイコプラズマ肺炎には異型性肺炎やオリンピック肺炎という昔ながらの呼び名があって、細菌に細胞壁不十分なため、通常使うペニシン系、セフェム系抗は効果がなく異形性肺炎とも言われてました。今までは、東京オリンピックのあった1964年以降4年ごとに、流行していましたが、どうもその傾向は薄れてきたようです。肺炎になっても初期段階で的確な治療をすれば、肺炎にならず感染症という状態で治療が可能なことも多いので、早めの受診と適切な抗生物質による治療をお勧めします。ですが、咳だけは、1~3ヶ月程度続くこともあります。

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